ヤマナカ技研 寝屋川の真空管アンプ専門店



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  Mcintosh MC60

修理完了してエージング中です。

MC60の調子が悪いので見て欲しいと連絡が入ったので、お邪魔して症状を確認しました。
音出しするとRchより「ジー」っという雑音が聞こえます。
Lchも、雑音レベルは低いが同じ症状です。
入力コードを外してMC60単独でも雑音が出ます。
念のためにプリアンプ(C20)や、配線を確認しましたが問題ありません。
そこでラインから外して内部確認すると、ブロックコンデンサから液漏れしてました。
「こりゃあ駄目です、部品交換が必要ですね。」
そういう事情で、持ち帰って修理とオーバーホールすることになりました。

 ブロックコンデンサはオーナー希望によりUSAから純正部品を取り寄せました。
 でも純正品(Malory製)は高額です、4個で送料込み4万円弱でしたから。
 内部は最新部品で良いと了解を得ていますので別途準備します。

修理前の症状確認を行いました。

Rchは、測定不能
 残留雑音が10mVを超えてます。
 そして出力を出そうとすると
 トランスや真空管が悲鳴を上げます!
 (Lchの残留雑音は、約2mVでした。)

   修理開始 

 最初に、オーナー所持の予備球KT-88を含めて各真空管のエミッションを確認します。
 規定値を割り込んでる物は無くて全部使用可能です、良かった。
 MC60はプレートとカソードの分割負荷なので厳密なペアでなくても許容できます。
 6550もKT-88も個体差が大きいので厳密なペアが必要なら困ってしまいます。
 販売店ペアでは選別精度が足らず別途大量の選別が必要ですから。
   (その為、マランツ整備は大変です‥)

 それでは、Rchブロックコンデンサ交換に掛かりましょう。
 旧式でスナップ固定、上手く外れて頂戴!と念じて丁寧に半田付けを外しました。
 何とか上手に外せました。ベース部分は鉄板製でダメージも無く再使用出来そうです。

 そして、その他の部品も老朽劣化している物を交換しました。
 やはり、A&Bソリッド抵抗は抵抗値が上昇しているので交換します。
 そして、複数の修理痕跡が見られるので主要部分の配線を半田付け修正します。
 誰かが中途半端に修理していて、べた付け半田でしたから。
 またカップリングコンデンサのオリジナル部品はBLACK CATでしたが、
 数年前の修理時に全数交換しました。絶縁抵抗が低下して全滅でしたから。
 真空管ソケットと出力ターミナルはオーナー希望で清掃のみです。

 Lchも、ブロックコンデンサとソリッド抵抗を交換しました。
交換した部品です。
外したブロックコンデンサの
容量を測定すると
5U4-G直後の容量値が
殆どゼロでした。

修理完了の様子です。左がLch用、右がRch用の内部写真です。
左右のアンプでチョークコイル取付位置が違います
恐らく生産時期か工場が異なっているのでしょう。



   性能測定 





 カタログスペックに対して、実質性能は上回っています。
 注目点は最大出力です。20Hzまで60Wが出ます。これは凄い!
 一般的に出力トランス容量は30Hzで測定します。(例 50W at30Hz)
 そこでMC60の出力トランス容量を換算すると134W(30Hz)となります。
 なるほど出力トランスが重い訳です。
 周波数特性では、出力レベルに関係なく5Hzから50kHzまでフラットです。
 超低域周波数で小さなピークがありますが、実用上問題ありません。
 歪率も全体域に渡り低歪です。出力インピーダンスも変な山谷が無くて優秀です。
 総合的にみると、非常に高性能です。50年前の製品とは思えませんね。
   納品と試聴
 オーナーより連日の督促が入るので大急ぎで修理し、
 完了後約1日、ランニングテストしました。問題なし。
 翌日、オーナー宅に設置して試聴確認を行います。
 プリアンプはC-20、スピーカーはJBLです。
 電源ON、音楽が無音状態からさっと出たのでオーナーは御機嫌です。
 そして数枚の愛聴盤試聴後に、
 「押出が強いだけじゃなく、艶っぽく瑞々しくなったよ、ありがとう!」
 どういたしまして!これからも、もっと楽しんでくださいね。
 

おまけ
・・・整流菅を変えてみました・・・
 完成写真では、5U4-Gが付いています。  でも指定は5U4-GBなんですね。
 オーナーに尋ねると入手時からのようです。
 そこで数日後に、5U4-GBを4本持参して交換してみました。
 「ちょっと真空管を変えてみますから聞いてみてください。」
 最初はちょっと不安そうでしたが、試聴後にはニコニコ顔となってました。
 「力強くなって、更にMcintoshらしくなったよ。」ですって。
 5U4-GBの方が5U4-Gより高性能で高規格ですから。
 その為に5U4-Gでは寿命短縮が心配です。貴重な球ですから。
 でも恰好はST菅の5U4-Gが良いですね。
 オーナーも、気分で差し替えて楽しむそうです。
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