回路図作成と点検
まず回路図を現物から起こします。
入力は東京光音製ボリュームを経由して396Aに入ります。
次にCR結合回路で3極菅接続された310Aに引き継がれ
グリッドチョークで接地された300Bに信号を送ります。
特製出力トランスでインピーダンス変換されてスピーカー出力端子に。
信号系統はそれでお終い、他には何もありません。
負帰還はメジャーループもマイナーループもありません!
ただ設計者の拘りと思われる音質改善用に追加された部品が沢山あります。
そして電源回路は?
300BはL/R独立した直流点火です。各個に3端子レギュレーターで安定化しています。
整流は5U4G、5Hチョークに40uFケミコンでリップルを取って300Bに供給。
396Aと310Aには直列ではなく並列にフィルターが入りモーターボーディング対処。
ただし左右チャンネルで電源は共用です。
マイナス電源はシリコンダイオードで片波整流です。
次に、抵抗とコンデンサを実測します。
極端な変化/劣化はありません。
ケミコン類は、ほぼ表示どうりの容量です。
結合コンデンサは容量値/絶縁抵抗とも問題無し。
これで回路図が出来上がり、第一弾の点検が終わりました。
310A
では電源から順番に動作を確認していきます。
整流菅だけ挿入してスイッチON。電源関係の電圧は正常です。
少々気になる点はありますが後で再確認します。
次に初段396Aを挿入して点検、Lchは正常でG=25dBぐらい。
Rchは、ゲインがマイナス?これは変だ。
電源を切って調べるとRch 310Aのグリッド抵抗値が3Ω?
なんとトップグリッドへの接続線がショートしてました。
誘導防止にシールド線を使っているのですが芯線と外皮が握手してました。
これを修理すると初段はL/Rとも正常になりました。
次、2段目310Aの確認開始。
310Aを挿入して電源ON。でも何時まで経ってもプレート電流が流れません?
各部電圧は正常です、プレート電流が流れない以外は。
そこで310Aを見るとヒーターが暗い?
ソケット端子間にヒーター電圧は10V掛かっているのに?
もう一度、球をよーく見るとゲッター鏡面が白い!
空気漏れです、ただの電熱器になってました‥。
ところで、もう一方の310Aは外観正常です。でもプレート電流が流れない。
アンプから外して310A単体でエミッションを確認します。
‥‥ぜんぜん駄目!エミッションゼロ!ヒーターは点灯してるしショートテストもOK。
よく解りませんが動作しません。とにかく全滅でした。
(数日後に再確認するとゲッターが白化してました。やっぱり真空度低下でした)
310Aを手配しなきゃ‥。WE製は高いだろうなー
|