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  audio reserch D-250 2台目



audio reserch D-250故障修理の2台目です。


   修理その1 
 
 電源投入前に、ラインヒューズを確認すると低損失オーディオ用10Aでした。
 D-250の電源スイッチをON、電源ランプは点灯しました。
 ヒーターは全部点灯してるし欠品もありません。
 1台目より初期状態は似ています。カバーを外して内部点検しましょう。
 


 1台目とは、かなり内部が違います。
 余計な部品が多いし6550以外の使用真空管も異なります。
 6DJ8は4本とも6922/E88CCに変わり、V32には12AT7ではなく12AX7が付いています。
 オーナーの話では修理に出したが直らずに1台戻ってきたと言ってました。
 このD-250なんですね。可哀想に‥
 中途半端に弄られているようで、修理難易度が上がってしまいました。
 その為に順序は違いますが、エミッションチェックから始めます。
 確認結果は、全数良好でしたが12AT7は在庫品を充当します。

 電源を入れて各部電圧確認を始めましたが、
  @430V出力が3Vしか出ていないので1台目とは状況が異なります。
   しかもプレート抵抗が破裂しておりスクリーン抵抗は代替部品のままです!
   更に他の大型抵抗にも過熱した跡があります。
  Aバイアス電源-40Vは正常です。
  B出力段のSG用335Vは300V。電圧調整用に抵抗が追加されていました。
  C15V電源は正常ですが2200uF25Vが2個追加されています。
  D増幅回路には位相補正回路の値を調整した痕跡が多数残っています。
 修理途上でかなり部品交換や長時間放置された模様です。
 しかも修理不能で返却するとは‥。




 430V電源は修理跡がありますが故障のままです。1台目とは別部分の故障のようです。
 回路図を睨みながら回路部品を順に点検して見つけました。
 電源出力の位相補正用スチコンがショートしていました。
 IC入力保護用ダイオードも劣化してます。
 そして6550のG-K間の位相補償コンデンサが誤配線されてます。
 カソード側の位相補正コンデンサは値が異なっています。
 破裂抵抗は6550用プレート抵抗でした。
 不良部品を交換し誤配線を修正すると430V電源が生き返りました。
 そして15V電源の発振止めにレギュレーター直近へ0.1uF2個を追加し
 2200uF25V2個は撤去しました。
 


   修理その2 

 電源が生き返ったので増幅部の確認修理を始めます。
 各部の電圧を測定しても大幅に狂った箇所は有りません。
 残留雑音は、両チャンネルとも2mV程度です。
 6550のバイアス電圧は安定しているのでカップリングコンデンサは問題なさそうです。
 次に増幅段の動作確認を行います。1台目で要領は判っていますから。
 CH1から確認開始、増幅段の電圧調整範囲が狭く歪最低点まで調整できない。
 最大出力点には調整は出来るので出力優先で終了とする。最低歪率0.03%です。
 次にCH2 いきなり問題発生。増幅段の電圧調整が出来ません!
 増幅2段目の7044が異常でした。エミッションテストでも若干少ない値だったので、
 心配してたのが、予想どうりになってしまいました。
 そして最大出力と歪の調整を始めると出力端子には雑音しか出ない?
 調べると出力段前の7044カソード抵抗が2本とも断線してました。
 正規部品に交換すると無事に動作しました。
 
 1号機と同様に、電源の老朽ケミコンを交換、リレー接点清掃と間隙調整を実施し
 ヘタっている底足を新品に交換しました。
 ふっと電源スイッチ配線を見ると、今にもショートしそうな危ない状況でした。
 見つけてよかった、熱収縮チューブで再配線しました。

 忘れずにヒューズを正規品に交換します。
  @ラインヒューズ   遅延型15A
  Aスクリーンヒューズ 即断型1A

 修理終了です。
   左が電源スイッチ修理前、右が再配線後の写真です。



   性能測定 
 


性能測定結果
 1号機と比較すると、ゲインが6dB少なくなり残留雑音が減少しています。
 負帰還量が6dB異なると推定できます。

 G = CH1 27.1dB / CH2 27.3dB
 残留雑音 CH1 0.64mV / CH2 0.78mV (フィルター無し)
 出力インピーダンス CH1 0.73Ω / CH2 0.68Ω (1kHz)
 ダンピングファクタ CH1 10.98 / CH2 11.78 (8Ωに対して)
 最大出力 245W (1kHz THD+N=1%)
 出力帯域 15Hz〜20kHz (100W)
        6Hz〜50kHz (10W)
 THD+N CH1 0.023% / CH2 0.029% (3W出力時)
   試聴
 検聴用システムに組み込み試聴しました。
 1台目と同じ傾向の音質です。
 細かいことは拘らずスピーカーを強力ドライブするのは変わりません。
 これに嵌ると他には行けません‥。
   

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