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  Marantz 10B(3台目)の修理

「FMチューナー Marantz 10Bの性能確認して必要な箇所をメンテナンスして欲しい。」
と電話が入りました。
はい、判りました御任せ下さい。




宅急便でMarantz10Bが届きました。
早速、開梱して外観確認します。
外観は問題ありません。
この方は、昨年性能不足の相談があり
電源電圧不足を昇圧トランスにより
解決した経過があります。
現物を拝見するのは初めてです。
 
修理前に性能を確認します。
中古品を専門業者から購入したそうですが
受信性能が不満なので確認してほしいそうです。
受信周波数は76〜90MHz、ディエンファシスは
50μSで問題ありませんね。
感度は少し悪くて最大感度3μV、
ステレオ実用感度は70μVと標準的です。
検波コイルも調整点が狂っています。
セパレーションは40dBで、とりあえず良好です。
よし、しっかり調整して最高にしてあげましょう!

修理1 検波コイル調整
 中間周波数増幅部に10.7MHz信号を入力して検波回路を調整します。
 スイープ発振器でIF特性を確認して、低歪SGでセンター電圧と歪率を調整します。
修理2 受信感度改善
フロントエンド真空管を交換し
トラッキング調整します。
中間周波数増幅部の6JK6は、
初段はエミ減で交換しますが
他は元気なので継続使用します。
その結果、最大感度改善は3dB程度で
バンド内の感度差が減少し、
実用感度が10dB程度良くなりました。

修理3 ダイアル内部清掃
ガラスダイアル内部を分解清掃してゴミや
汚れを取り除きます。
2枚のガラス間を指針が走る構造なので
ゴミや埃が入りやすいのですね。
それにしても印刷が簡単に
消えてしまうのは困ります!
最後に周波数表示ラベルを
貼り付けて完了です。

修理4  各種調整
一通り修理が終了したので、各部分の調整を行います。
 @ミューティング動作レベル、ステレオ点灯レベル調整
 Aスコープ調整
 変調度は10kHz/目盛(左右)、信号強度表示は10dB/目盛(上下)の調整

事前の聞き取りでオーナー宅の受信環境は共聴システムで
FM信号は100dBf以上の過大入力のようです。
そこで入力信号減衰用にアッテネーターを準備して添付しました。
更にFM帯域外でも超強力信号が存在するとチューナーで混変調が起こります。



  測定
 調整後に性能測定しました。
 沢山の項目で煩雑なので代表的な測定結果をご覧ください。





   修理完了
 調整後、連続通電して放送を聞きました。
 良い音です!放送局間の音質差がよーく解ります。
 この10Bは、整備済みにも関わらず本来の実力が出ていませんでした。
 電源回路や劣化の激しいフォトカプラは交換されていましたが
 受信性能に関する調整不足で、技術力を疑いますね。
 
 これからMarantz10Bの美音を楽しんでください!
 

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