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 KENWOOD FMチューナー KT-3030の修理

FMチューナーKENWOOD KT-3030を修理して欲しい、と連絡が入りました。
当所は真空管専門ですが、お引き受けします。御任せ下さい。


不具合内容
 @受信時にモノラルでも雑音が多い。
 Aステレオ受信時に歪っぽい。
 B電源ON約1時間後に受信不能になる。電源を切って暫く冷やすと
  受信可能になるが1時間経つと再発する。

修理1
 最初にフロントエンドの調整をします。
 トリマーコンデンサが劣化して90MHz同調電圧調整が出来ません。
 トリマーコンデンサを交換して再調整します。
 TRIOの共通弱点ですね、どの機種も劣化が進んでいます。
 ステレオ受信不良は、キャリアリーク/DLLD歪み補正/セパレーションの調整ズレでした。
 DLLD回路は2次歪み、3次歪み、4次歪みを個別にキャンセル出来る最高級仕様です!
 その為に調整箇所が沢山あり大変です。
 IF回路、MPX回路と順番に全ての箇所を再調整することで高性能が復活しました。
修理2
 修理1時点では受信不能症状が出ないので、とりあえず主要回路部のケミコンを交換します。
 電源回路のケミコンも容量減少していたので周辺部品も一緒に交換します。
 これで当分の間温度上昇による劣化は起こりません。
 ドライヤー/ヒートガン/半田鏝で、部品毎、回路毎に温めて症状再現させます。
 出ました!!受信不能になりました。なんとMPU周辺を温めると不良再発し、冷やすと復帰します。
 そこで部品個別に当たると水晶発振子が原因でした。
 温度が上がるとクロック発振が止まりマイコンが働かないので受信不能になる訳です。

  測定
 修理完了後に測定した結果です。


   修理完了
 当たり前ですが末っ子KT-1010よりも優秀で
 歪み低減回路DLLDやPLL検波回路が優秀で極めて低歪、低雑音です。
 データー以上に聴感上のSNが良く
 広いダイナミックレンジと超低音までレンジが広く
 KENWOODらしいヌケの良い美音が出ます。
 この性能・音質を生かす放送が少ないのが残念です。
 

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