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  Mcintossh MR67の修理

「音が出ず動作しないFMチューナー Mcintosh MR67を整備して復活させて欲しい。」
と電話が入りました。
はい、判りました御任せ下さい。十分に整備して復活させます。



オーナーより宅急便でMcintosh MR67が届きました。
もう一つ若干大きめの箱も一緒です。
開けるとウッドケースに入ったMcintoshです!C22などと同じくロック解除ボタンも付いています。
フロントパネルはガラス製で復活すると綺麗でしょうね!楽しみです!
通電前に、先ず内部の目視確認します。ウッドケースを外してシャーシを見ます。
創造してたよりも綺麗、酷い錆や汚れは有りません!良かった。
 真空管配置を見ると変わった回路ではなく当時標準的な3段IF増幅回路に特殊フィルターは無くIFTのみのようです。
クロームメッキシャーシはMcintoshらしくて良いです。フライホイールまでクロームメッキでカッコ良いですね!
 
   
内部の目視確認では不具合箇所が解りません。でも全く動作しないとの情報ですから電源関係の不具合は間違い無さそうです。
しかしMarantz10Bと比べると部品が少なく内部もすっきりしています。RFアンプには当時最新のニュービスタ真空管が採用されています。
それではスライダックを使って各部電圧に注意してゆっくりと電源を入れてみましょう。


修理1 電源修理  
電源電圧が低くて規定のDC150Vのところが100V以下です。ヒーター電圧は正常にAC6.3V出るのでトランス不良では無いようです。良かった! 整流直後のリップル波形が異常なので整流素子(セレン)が劣化してるようです。ケミコンも容量減少していました。
セレンの代わりにシリコンダイオードに、ケミコンも交換します。
交換後に電圧確認すると正常な電圧電源 に復活しました。
さあ、これから各部の性能確認と調整です。



修理2 IF回路調整
 
 出力端子にはホワイトノイズが出ました。MPX以降は動作しているようなので、IF回路の調整と修理を行います。
 チューナーの主要性能が決まりますからね。先ずスイープジェネレーターでIFTの同調を取って検波回路を調整します。
 選択度と低歪を両立させる為にIFTは全部複同調回路です。これはスイープジェネレーターが無いと完全に調整出来ません。
 その後に検波回路を調整して低歪にします。そうしないとフロントエンド調整が出来ませんからね。郡遅延直視装置が有れば完璧ですが、
 この測定器はとんでもなく高価ですし数が少なく中古品も入手できないでしょうから無理ですね。
 次はステレオ復調回路とオーディオ部です。

修理3 真空管確認
 使用真空管のエミッションチェックします。
 全部で真空管が13本使用されています。
 確認の結果、エミ減はありませんでしたが、雑音を出す奴が居て2本交換しました。
 しかし約半数7本には「Mcintosh」プリントが残っていましたからオリジナルから継続使用している可能性があります。
 もちろん途中で正規サービスされたかもしれませんが発売開始が1963年ですからあなたはいったい何歳ですか?
交換部品

修理4 フロントエンド修理
ここまで来て、やっと受信周波数調整が可能になりました。
ところが現状が解りません。というのも中途半端に改造されていて性能が全く不明な為です。
とりあえず直流的には真空管動作は各部電圧に異常は無さそうです。
ではローカルオシレーター発振周波数は?スペアナを出すのは面倒だし異常電圧でヒューズ飛ばすのは厭だし
こういうときに便利なものがありました。ディップメーターです!バリコンを一杯入れて同調周波数を測ると87MHzでした。
おやJAPバンドになっていますね。SSGから76MHzをアンテナ端子に入れると受信しました。とっても低感度ですが‥。とほほ
原因は同調コイルでした。内部のダストコアが固着して動きません、RF全段とも調整不能です。
更にトリマコンデンサも不具合でスムーズな変化できません。
仕方ないのでコイルからダストコアを撤去しトリマコンデンサも超小型バリコンに替えて受信周波数調整を行いました。
高周波部もトラッキング調整が全然狂ってました。これじゃあ感度が悪い訳です




修理5 ミューティング、デエンファシス修理
デエンファシス修理、MR67はモノ時とステレオでは信号経路が異なりデエンファシスも別個です。
基板に主要回路が実装されていて部品交換が面倒だった
ステレオセパレーション調整とステレオ歪みの最良調整ポイントが異なり困った。
そしてミューティングレベル調整ボリュームを変化させると信号インジケーターとTメーターセンターがズレる。
IFT4の調整が不足しているらしいが調整法方がマニュアルにも記載されておらずこれにも困った!

修理6 ダイアル清掃
でも青く光るマジックアイのSメーターは綺麗ですね!
ステレオインジケーターランプは断線していたので
新品に換えると綺麗に光りました.。

  オーディオ部修理
一通り修理が終了したので、各部分の調整を行います。
  @V12(6U8)のヒーター絶縁不良で雑音大→交換
  AV10(6BL8)のエミッション減少で歪み大→交換
  B出力コンデンサ交換、出力端子へのカップリングコンデンサをケミコンからフィルムコンデンサに交換します。

  仕上げ
 最後にダイアルガラスを取外して清掃し指針に注意して取付けます。
 そして日本バンド周波数をパネルに貼り付けて完成です!!マランツと異なり窓が無く貼付け場所が無いのでガラストップ面に貼り付けました

  測定
 沢山の項目で煩雑なので代表的な測定結果をご覧ください。
2信号選択度が悪く見えますが実用上は十分です。セラミックフィルター/クリスタルフィルター/SAWフィルター等を使わずIFTだけなので
こんなものです。遅延特性が直線的なので検波性能も優秀です。
しかし、オーソドックスな回路で真空管には必要最小限の電圧で長寿命化を計っています。
Marzntz10Bとは設計思想が異なっています。最高の性能ではなくて、実用十分な性能で長期安定化ですね。





   修理完了
 修理後に、試聴するとマランツとは異なる音色です。
 オーナーより感想を頂きました。
 「稼働状況良好です、簡単に言うと
 マランツは透明、マッキントッシュは着色です。
 素人の私は後者の方を好みます。
 
 実は、同時にMarantz10Bもメンテナンスを依頼されているので急がなきゃ!
 それまではオーナーを楽しませてください、頼みますよ!  

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