ヤマナカ技研 寝屋川の真空管アンプ専門店



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  Mcintosh MC240

修理前の確認中です。格好良いですね!

MC240から大きな雑音が出て調子が悪いので修理して欲しいと連絡が入ったので、お邪魔して症状を確認しました。
音出しすると両方のチャンネルから「ジー」っという雑音が聞こえます。

入力コードを外してMC240単独でも雑音が出ます。
念のためにプリアンプ(C22)や、配線を確認しましたが問題ありません。
どうやら電源回路故障のようです。ケミコンのドライアップと思います。
「こりゃあ駄目です、部品交換が必要ですね。」
そういう事情で、持ち帰って修理とオーバーホールすることになりました。

 ブロックコンデンサは純正部品でなくても良いと了解頂いたので国産品を使います。
 だってシャーシ内部に収納されて見えませんから‥
 その他も最新部品で良いと了解を得ていますので別途準備します。
 ただし信号経路の部品は慎重に選択します。
 Mcintoshは、部品感度が低く部品交換による音質変化は少ないですが、
意外な部品で音が変化します。例えば入力端子等の接続部分や、ボリューム、そしてネジ等です。
 内部確認すると、やはりブロックケミコンが液漏れしていました。どうも抵抗発熱が原因のようです。
 そして後ほど判明しましたが、整流直後のケミコンもドライアウトで容量が激減してました。
 ところで誰かが修理していますね!先ずAC1次側保護サーミスタが撤去されています。
 そして整流ダイオードが交換されていますが、正体不明だし下手な半田付けですね!
 カップリングコンデンサーはオリジナルのバンブルビーとブラックキャットですね。

サブシャーシを外してブロックケミコンを交換します
オリジナルはツイストロックでしたから取付金具も交換です。


4個とも劣化してました!
 全部交換します!

   修理2 

 最初に、各真空管のエミッションを確認します。
 規定値を割り込んでる物は無くて全部使用可能です、良かった。
 MC240はプレートとカソードの分割負荷なので厳密なペアでなくても使用可能です。

 さてブロックコンデンサ交換だけではドライアップが再発します。
 原因は抵抗の発熱ですから出来る限り放熱して温度を下げケミコンに伝わらぬ構造にしなければなりません。
 そこでラグ板を追加してケミコン端子に直付けされていた抵抗を離すと同時に2分割して放熱を促進します。
 勿論合成抵抗が等しくなる値にします。
 そして、整流ダイオードも適切な定格品に換えて正しく半田付けします。
 やはり、バンブルビーコンデンサは絶縁抵抗値が減少しているので交換します。
 そして、そしてA&Bソリッド抵抗は抵抗値が変化しているの重要部分(負帰還回路と位相補正回路)は金属皮膜抵抗に交換します。
 更に、初段カソードパスコンも交換して万全にします。
 最後にRch入力ボリュームに酷いガリが出て修復不能だったので交換します。
 このボリュームはクラロスタット製かCTS製でなきゃ駄目です。
 国産では音がフニャフニャになってしまうからです。
 

交換した部品です。

修理完了の様子です。上が修理前、下が修理後の基板です。



   性能測定 





 カタログスペックに対して、実質性能は上回っています。
 注目点は最大出力です。20Hzまで40Wが出ます。これは凄い!
 一般的に出力トランス容量は30Hzで測定します。(例 50W at30Hz)
 そこでMC60の出力トランス容量を換算すると120W(30Hz)となります。
 なるほど出力トランスが重い訳です。そして通常巻線のトランスに換算して1次インピーダンスを推定し性能を纏めると
 1次インピーダンス3.3kΩ容量120W/30Hz伝送効率-0.412dB(91%)となります。
 TANGO FW100-3.5やLUX OY36-3.5よりも大型で高性能ですね。
 ちなみに電源チョークコイルは直流抵抗28Ω、インダクタンスは1.2H(DC=0A)でした。
 残留雑音も十分に低くどのようなスピーカーでも問題ありません。
 オーナー宅のタンノイバークレイを朗々と歌わせるでしょう。
 歪率も全体域に渡り低歪です。出力インピーダンスも変な山谷が無くて優秀です。
 総合的にみると、非常に高性能です。50年前の製品とは思えませんね。
   納品と試聴

 完了後約3日、ランニングテストしました。問題なし。
 我家のスピーカーが水を得た魚のように生き生きと鳴りました!
 やはり大出力のアンプは違います。
 修理完了連絡の翌日、オーナー宅に設置して試聴確認を行います。
 プリアンプはC-22、スピーカーはタンノイバークレイです。
 電源ON、音楽が無音状態からさっと出たのでオーナーは御機嫌です。
 そして数枚の愛聴盤試聴後に、
 「押出が強いだけじゃなく、艶っぽく瑞々しくなったよ、ありがとう!」
 どういたしまして!これからも、もっと楽しんでくださいね。
 

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