ヤマナカ技研 寝屋川の真空管アンプ専門店



トップページ サービス内容・料金 問い合わせ 修理・再生の実績 プロフィール
 

  Mcintossh MR71の修理

「感度が悪いFMチューナー Mcintosh MR71を整備して復活させて欲しい。」
と電話が入りました。
はい、判りました御任せ下さい。十分に整備して復活させます。



オーナーより宅急便でMcintosh MR71が届きました。
開けるとウッドケースに入ったMcintoshです!C22などと同じくロック解除ボタンも付いています。
フロントパネルはガラス製で復活すると綺麗でしょうね!楽しみです!
通電前に、先ず内部の目視確認します。ウッドケースを外してシャーシを見ます。
創造してたよりも綺麗、酷い錆や汚れは有りません!良かった。
真空管配置を見ると高級機種らしく4段IF増幅回路にレシオ検波回路
、 そして制御用専用検波回路付きです。前機種MR67より回路改善されていますが、フィルターはIFTのみです。
クロームメッキシャーシはMcintoshらしくて良いです。
フライホイールまでクロームメッキでカッコ良いですね!
 
   
内部の目視確認では不具合箇所が解りません。でもお年ですから電源関係の不具合は間違い無さそうです。
前機種MR67と比べると性能向上のために回路が追加されていますね。MARANTZ10Bを意識したのかもしれませんね?
それではスライダックを使って各部電圧に注意してゆっくりと電源を入れてみましょう。


修理1 電源修理  
電源電圧が低くて規定のDC150Vのところが120V以下です。ヒーター電圧は正常にAC6.3V出るのでトランス不良では無いようです。良かった! 整流直後のリップル波形が異常なので整流素子(セレン)が劣化してるようです。ケミコンも容量減少しているでしょうね。
セレンの代わりにシリコンダイオードに、ケミコンも交換します。
交換後に電圧確認すると正常な電圧電源と整流波形に復活しました。
でも整流後のリップルフィルターが効かずハム電圧が減ってません!
フロントエンド電源に1Vp-pもハム電圧があります!これではSNが悪いわけだ。
よく見るとブロックコンデンサから液漏れ跡がありました。容量抜けです、交換しましょ。
これで電源修理は終了です。これから各部の性能確認と調整です。



修理2 IF回路調整
 
出力端子にはホワイトノイズが出ました。MPX以降はなんとか動作しているようなので、IF回路の調整と修理を行います。
チューナー主要性能はIF回路で決まりますからね。
先ずスイープジェネレーターから10.7MHz信号を入れてIFTトランス調整を行ってから検波回路を調整します。
選択度と低歪を両立させる為にIFTは全部複同調回路です。これはスイープ信号を使って完全に調整します。
次に制御用検波回路を調整します。オーディオ検波回路調整の前にしなくちゃなりません。
その後にオーディオ信号検波回路を調整して低歪にします。
そしてSメーター調整を始めるとAGC回路が働いていません!
調べるとV10(6BN8)の足が1本欠落してました。何で?!
V10を交換すると正常に戻ってSメーター調整も終了です。これでIF回路部分の修理調整は完了。
次はステレオ復調回路とオーディオ部です。

修理3 真空管確認
使用真空管のエミッションチェックします。
全部で真空管が15本使用されています。
確認の結果、エミ減が4本ありました。そして足が無い6BN8も交換です。
しかし9本には「Mcintosh」プリントが残っていましたからオリジナルから継続使用しているなら、お疲れ様ですね。
発売開始が1964年ですしシリアルナンバーも初期ですから、50歳以上ですね。
RFアンプには当時最新のニュービスタ真空管が採用されています。現在では入手困難なので不良の場合は困ります。
正常範囲で良かった。でも次段のRF/MIXの12AT7はエミ減でした。
液漏れケミコン 交換部品


修理4 MPX調整とオーディオ部修理
高周波関係の修理が出来たので、低周波各部分の修理調整を行います。
MPX(ステレオ復調回路)
@真空管は2本とも(6EA8/12AU7)エミ減傾向だったので交換します。
ASCAフィルターは異常ありません、良かった。(故障確率が高いのです)
B19kHz/38kHzコイルトランスを調整して正常動作させます。
復調はマトリクス方式なので調整を誤ると左右逆出力になります。
Cデエンファシス調整の為にコンデンサを交換します。US75uS→JAP50uS

オーディオアンプ部
@V12(6BL8)のエミッション減少で歪み大→交換
Aコンデンサ交換、カップリングコンデンサをケミコンからフィルムコンデンサに交換します。
Bコンデンサ交換、出力端子へのカップリングコンデンサを音質対策ケミコンに交換します。
Cセパレーション改善回路の追加 サービス情報NO.114による改造実施


  仕上げ
最後にダイアルガラスを取外して清掃しました。
そして日本バンド周波数をパネルに貼り付けて完成です!!
マランツと異なり窓が無く貼付け場所が無いのでガラストップ面に貼り付けました

  性能測定
沢山の項目で煩雑なので代表的な測定結果をご覧ください。
実用範囲は入力50dBμから90dBμです。
修理の結果、感度は30dB向上、歪は1/4に改善出来ました!
2信号選択度が悪く見えますが実用上は十分です。
セラミックフィルター/クリスタルフィルター/SAWフィルター等を使わず
IFTだけなのでこんなものです。
そしてMarzntz10Bとは設計思想が異なっています。
最高の性能ではなくて、実用十分な性能で長期安定化ですね。
オーソドックスな回路で真空管には必要最小限の電圧で長寿命化を計っています。





   修理完了
 修理後に、試聴するとマランツとは異なる音色です。
 オーナーより感想を頂きました。
 稼働状況良好です、感度も音色も抜群です!
 
 頑張ってオーナーを楽しませてください、頼みますよ!  

Copyright © 2016 ヤマナカ技研 All rights reserved.
by 無料ホームページ制作講座