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  Mcintosh C20(3台目)


「Mcintosh C20が不調で、ボリュームにガリが酷く、左右音量が揃わないので直してほしい」
と電話が入りました。
はい、お任せください。必ず修理して生き返らせますよ。
某日、オーナーからC-20が宅急便で届きました。
早速、開梱するとウッドケースの後足がありません?箱を探すとバラバラの破片が出てきました。
次に動作テストに音出しすると、ボリューム位置9〜10時付近で酷いガリ音です。
ガリを我慢してレコードを掛けてみます。
ボリュームを上げると右チャンネルから少しだけしか音が出ません。
これはゲインのアンバランスを超えて右チャンネルの異常です。
パネル照明も暗くて光らない部分があるから電球が切れているようですね
さあ、修理を始めましょう!


ウッドケースとトップパネルを外して
ハラワタを見せてもらいましょう。
パネルを開けて見るとメインボリューム付近は接点復活材過剰で酷い状況です。
ボリューム抵抗値補正の外付抵抗もついていますから確かに後期型です。
さあ、もう一度内部確認して見ましょう。
@何度かメンテナンスされているようで電源回路のケミコンには劣化がなさそうです。
A信号回路コンデンサには回路番号が貼り付けられてオリジナルと同じバンブルビーが使われています。
B照明用電球は、予想通り6個のうち2個が断線していました。
C各部の電圧確認(電源電圧はAC117Vです)真空管各部の電圧は大きく狂っていませんでした。
 
 
 
   ボリューム交換
 最初にメインボリュームを交換します。
 純正の復刻品が入手出来ました。オリジナルメーカー(CTS)にて再生産した部品です。
 ギャングエラー選別済み品なので調整用の外付抵抗は必要ありません。
 
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パネル修理 
電球交換しようとフロント部分を分解する時、不覚にもガラスパネルを割ってしまいました!
ツマミがシャフトから抜けずに間違った箇所に力を入れたとたんに「パキッ」と嫌な音がしました‥。
おそらく過去に割れる寸前まで力が掛かって細かくヒビが入っていたのだと思います。
これは私のミスですから何とかしなきゃなりません。泣く泣くガラスパネルを手配しました。
パネルは前期/中期/後期/セカンドシーズンと4種類あり互換性がありません。
そして数日後に無事に正しい交換用のパネルが届きました。良かった。

ところが問題は残っていました。やっぱりツマミが抜けないのです!
強力な溶剤を使ってもダメ、CRC556も役立たずです。錆落とし剤も効かず!途方に暮れてしまいます。
これではパネルが取り付けられません。最後の手段としてシャフトを切断しました。
切断したシャフトは内部でジョイントを使って繋ぎます。
後で確認するとツマミ側の内蔵板バネでシャフトに固定する構造ですが、
この板バネがシャフトに完全癒着していました。これじゃあ外れない訳です。
さらにジョイントもインチサイズが必要なので入手困難でした‥。
国内製ではわずかに穴径が小さくて使えません。その為ジョイント在庫が多量に増えてしまいました。
とにかく電球を交換しパネルとツマミを取り付けました。
ガラスパネルが新しくなり擦れていた印刷表示も綺麗になりました。

 交換した部品
雑音修理
カップリングコンデンサとケミコンを確認します。
ボリューム交換してもコンデンサが不良だとガリが再発します!
カップリングコンデンサ絶縁不良を起こすと、各真空管のグリッドに電圧が出ます。
幸いにも、まだ大丈夫なようです。交換せずに済ましましょう。
もし交換必要ならば使うのはバンブルビーではなく最新のフィルムコンデンサです。
必要数の確保が出来そうにないし、仮に入手出来ても不良症状が再発しますから。
そしてセレクタースイッチ、モードスイッチ、などの接点を清掃します
   性能測定 
PHONO回路のRIAA偏差は、
ハイ上がり傾向ですが
±1.0dBには納まっています。
OLD-NABとRIAAの中間を
狙ったようにも見えます。
C-20は等価カーブの調整が出来ますから少々の偏差は問題ありません。


最後に内部を清掃して組立てます。
ウッドケースの底足は4個とも交換しましょう
 

   納品
オーナーからコメントを頂きました
本日音出しを実施し、正常に作動することを確認しました。
品物が年代物でありましたので大変ご苦労された事と思われます。
測定データを添付して頂き大変助かります。
また、前面のパネルも新品に交換して頂き誠に有難う御座いました。
今後も修理をお願いすることもあるかと思いますので、その節は宜しく御願い致します。
C-20君、精一杯頑張ってオーナーを癒してください!
 

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